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高橋幸宏:音楽殺人再発盤比較:意外な結果に驚き_後半

音楽殺人UK盤

さて、前回は2005年CDと2021年CD、オリジナルLPレコードの比較結果を紹介しました。詳しくは高橋幸宏:音楽殺人再発盤比較:意外な結果に驚き_前半を参照ください。

音楽殺人LP見本盤
音楽殺人LP見本盤
上記画像は見本盤LPで、俗に言う白盤である。一般的に白盤は音が良いとされてるが、その根拠は?そうそう、ファーストプレスも一般的に音が良いという。しかし、ここ数年色々比較してわかってきたことは、白盤、ファーストプレス盤=音が良いというのは正解でもあり誤りでもあるという見解です。

当ラボの環境下、所有するレコードを自身の耳で比較試聴してるので、正確な情報とは言えないかもしれない。しかし、レコードプレスのプロセスから判断するに、レコードプレスの元盤であるスタンパーが、レコードプレスと共に劣化することを踏まえれば、ファーストプレスの中でも1枚目にプレスされたものと、2000枚目にプレスされたものでは(スタンパー1枚からレコード2000枚ほどプレス可能)大きく音質が異なることが理解できる。劣化したスタンパーは新たに制作されたスタンパーに交換され、セカンドプレスとして新たなレコードが量産されていく。ファーストでもセカンドでもプレス順で音質が異なることを考えれば、端的なファーストとセカンドの比較試聴は参考にならないかもしれない。。。

私がメインで聴く70年代80年代のレコードは、スタンパーの初期盤と終期盤を見分ける情報は恐らく無いと思うので、Discogsの端的な情報から手元にある盤がファーストかセカンドか、あるいはそれ以外の盤に該当するかがわかったとしても、2000番目かもしれないということを常に頭に置く必要がある。また、他国盤、自国盤との比較もしてるが、スタンパー作成の前段階でマスターテープがダビングであるか否かも音質に関係するわけで、自国盤オリジナルマスターテープより作成されたファーストスタンパー2000番目のレコードと、他国盤ダビングマスターテープファーストスタンパー1番目レコードとの音質差もどのくらいあるのか、、、。やはり一概にファーストプレス盤が音が良いというのは信じないほうが良いかも(汗)。ファーストプレス高音質説については、迷走必至なので追及し過ぎてしまうと、レコードを聴く行為が苦しくなる場合があるので、ほどほどにしたい。ちなみに、マトリックスナンバーについてはさらに奥深いらしく、謎も多いため触れないようにしております^^。

相変わらず横道に逸れ話が長くなるが、肝心の白盤はどうだろうか?もうお分かりだと思いますが、自国の白盤はファーストスタンパーの初期プレスであることが予測できる。正規発売前のプレリリース盤であるからして、恐らく間違いなくスタンパー劣化前のみずみずしい音を出してくれるに違いないと解釈するが、さて、今回の比較試聴後半戦早速行ってみよ!

見本盤フル装備
見本盤フル装備
見本盤とは言え、市販品と変わらないフル装備である。レーベルデザインのみ異なる。早速針を落としてみた。オリジナルLPと比べてみずみずしさやエッジの利いた音の輪郭など明確な違いを期待したが、オリジナルとほぼ変わらない。少なくとも私の耳では違いは感じ取れない。自国の白盤が良い音であろう講釈を述べた割にはあっけない結果だった。

盤のコンディションはオリジナルも白盤も良いので、正確な比較の結果音質はほとんど同じという結論だったが、もしかするとオリジナルLPがファーストスタンパーの初期プレスに近いのかもしれない。それを証明する術はないが耳で聴いた限りではオリジナルLPも相当音が良いということだ。結果的に所有するオリジナルLPが高音質盤だったことが判明した。

音楽殺人2021年再発LP
音楽殺人2021年再発LP
続いて今回メインの2021年リマスターLP(以下リマスターLP)を聴いてみた。オリジナルLPとの比較だが、キラキラ感が少し控え目で、低域の量感がにわかにUPしてる。2021年CDと同傾向の音質である。砂原良徳リマスターのLPとCDなので当たり前だ。ただ、リマスターLPの場合、にわかにアップした低域が中高域にまで影響及ぼしてる感じがして、何となく全体がモヤモヤした感じが否めない。程よい低域量感UPに対して高域もキラキラ感温存であればオリジナルLPより高音質と評価したかもしれないが、オリジナルLPと比較すると全体のモヤモヤ感が気になってしまう。こうなるとオリジナルLPの方が高音質と感じてしまう。

比較しなければバランスの良い聴きやすいリマスターLPと高く評価していただろう。2021年CDが良かっただけにリマスターLPには大きく期待を寄せたのだが、比較の結果オリジナルLP>リマスターLPとなった。しかし、個人的嗜好に沿った偏った評価かもしれないので、間違いなくオリジナルLPが高音質だとは断言できない。盤やジャケットの体裁がきれいで質感も良く、所有満足度が高いうえに、程よいバランスですんなり耳に入るリマスターLPも大変良い品であることは間違いないので、確実な品を求めるならリマスターLPがお勧め。

音楽殺人UK盤
音楽殺人UK盤
さて、最後となったが、UK盤LP(以下UK盤)である。今回のレビュー、わざわざ前編と後編に分け、最後にUK盤を持ってくるということは?そうです。意外な結果に驚くのです(笑)。はいはい、早速針を落としてみました!2005年CD,2021年CD,オリジナルおよび白盤LP、リマスターLPと聴いてきたが、そのどれよりもみずみずしい音である!低域の程よい量感、キラキラ感、各楽器の明瞭度、各帯域のバランス、比較ポイント全てにおいてUK盤が良いと感じてしまった。自国のオリジナル盤や白盤の音が良いであろう講釈も吹っ飛んだ瞬間である(笑)。実に良い音だ!UK盤素晴らしいです。

少なくとも当システムで聴く音楽殺人UK盤は最高である。しかし、少し残念なことがある。UK盤はオリジナルから1曲割愛され、しかも曲順が一部異なる。。。なんだよこれ。曲順変更はまだ許せるが、1曲割愛って、、、。しかも2曲メドレー構成の2曲目を割愛するってどんなセンスだよ。海外リリースの条件として提示されたんだと思うが、こんな条件よく承諾したな。ともあれ音は良いのでまあいいか。とはならない。実にもったいない。最後にとんでもない落ちであった。

高橋幸宏 音楽殺人 ALL
高橋幸宏 音楽殺人 ALL
ということで、今回の比較結果:UK盤>2021年CD>オリジナルLP=白盤>リマスターLP>2005年CDとなった。

希望的観測含め予測交えながら講釈を述べたが、ファーストとかセカンドとか、所有欲を満足させるのがファーストであるが、音質の良し悪しについては2000番目にプレスされたものかもしれないを念頭に置きつつ、やはりレコードを聴かないとわからない。今回私が所有する盤を比較対象とし、高音質定義が個人的嗜好に偏るレビューとなったが、参考になれば幸いです。

Track B2_Blue Colour Worker
Track B2_Blue Colour Worker
最後に今回比較対象とした曲を紹介しよう。オリジナルLPでいうA面1曲目:School Of Thought、A面5曲目:Radioactivist、B面1曲目:Bijin-Kyoshi At The Swimming Schoolである。ちなみにこのアルバムで一番好きな曲はB2のBlue Colour Workerで、細野晴臣の曲である。このアルバム、はっきり言って捨て曲無し!1980年にリリースされたとは驚きである。高橋幸宏のセンスと人脈だけではこのような作品は生まれないであろう。私のような者が言うまでもなく、この時代のYMO周辺は神がかっていた。そんな時代が生んだ素晴らしい作品の再発盤レビューでした^^