<ノイズ除去音質劣化について>
<ノイズ除去音質劣化について>
音質劣化を最小限に抑える技
「レコードの再生音をいかに高音質でデジタル化するか?」
一般的にノイズ除去イコール音質劣化のイメージがあります。ノイズ除去に伴う音質劣化についてコチラで解説しておりますが、このページでは色々なソフトで検証し見えてきたこと、具体例を挙げてよりわかりやすく解説します。まず下記の比較音源を試聴ください。
ヘッドホンお持ちの方は是非ご使用ください
音源公開にあたり版権所有者、契約者Cool Sound様の利用許諾を受けております。
上段:オリジナル音源(レコードから録音したままの状態)
中段:手抜きノイズ処理音源(除去精度高め自動一括処理したもの)
下段:除去された音源(手抜きノイズ処理で失われた音)
最下段:当ラボ独自のノイズ処理音源(原音に影響なく除去)
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再生ボタンを押すごとに音声が切り替わるので、タイムバーを参考に適宜切り替えながら比較試聴してください。
このように比較することで音質の違いが確認できます。手抜きノイズ処理をした場合、正しい処理をした場合、音質の差は歴然です。正しくソフトを使うことで、楽曲の良さを引き立たせます。
ノイズ除去ソフトの基本事項として押さえておきたいこと
ノイズ除去ソフトは多く存在しますが、レコード特有のプチパチノイズを除去する理屈は同じで、極端にアタックの強い音をノイズと判断し除去するものがほとんどです。ノイズを個々に選んで除去する場合は問題ないですが、音楽ファイル全体に対して一括自動除去処理する際問題が生じる恐れがあります。ノイズ除去精度を上げることでドラムやパーカッション、メリハリの効いたカッティングギターなど、アタックの強い音楽ソースの一部がプチパチノイズと共に除去されてしまいす。これが音質劣化となり音楽をつまらなくします。
以下はノイズ除去ビフォー&アフター、手抜きノイズ処理の結果などサンプル音源を用いて解説します。
使用する音源はLPレコードをマスター音源としたリイシュー作品(Cool Soundよりリリース)からチョイスしております。
詳しくはコチラを参照ください(当ラボがノイズ除去とマスタリングのお手伝いをさせていただきました)。
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JOLIS & SIMONE / Jolis & Simone、Ron Dante(to TOWER RECORDS)
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<原音に影響なくノイズを除去?>
<原音に影響なくノイズを除去?>
下記の音源をお聴きください
この音源は音源1全体に対して強めのノイズ除去を行ったもの。驚くほどノイズは除去されております。
音源1を聴かずにこの音源2を聴いた場合どのような印象を受けるでしょうか?この曲を初めて聴く方は違和感なく聴けるかもしれませんが、この曲を以前から知っている、または好きな方、そして音楽に精通した方や音質にこだわる方々が聴いた場合、強烈な違和感を感じるのではないでしょうか。
ちなみに音源1を聴いた後では音質劣化が一聴瞭然。ドラムやリズム系などアタックの強い音が丸くなって音の輪郭がぼやけていることがわかります。曲本来の抑揚が失われ曲全体の雰囲気まで変わってしまいます。除去前、後で比較すると差が歴然ということがわかります。逆にそれほどアタックの強くないボーカルやシンセなど音質劣化はほとんど感じません。
この時点でリズムメインの曲以外は、除去精度を上げても原音に影響なくノイズ除去できることが容易に想像できます。
ノイズ除去前、ノイズ除去後の効果を紹介してる動画やサンプル音源を見かけますが、ダンスやロック系など、リズムメインの曲を使ってるものは皆無。アタックの強いバスドラやリズム音が絡んでくる曲のノイズ除去がいかに難しいかを物語っております。逆にリズムが強調されないクラシックやビッグバンド演奏、合唱やヴォーカルメイン、アカペラ、ゴスペル、昔の歌謡曲などは比較的短時間かつ容易にノイズ除去が可能で、ノイズ除去処理による音質劣化が分かりにくいので、ノイズ除去ビフォーアフター動画、サンプル音源で紹介されることが多いです。
原音を損ねることなくノイズを除去!を信用する前に、、、ダンスミュージック、ポップス、ロック、JAZZなどなど、リズムが絡む曲は注意が必要です。安易なノイズ処理に頼ると音楽の持つエネルギーを大きく損なってしまう恐れがあります。
当ラボでは、レコードノイズを極力抑えるため1枚1枚丁寧にレコード洗浄から始めます。録音ソースに対してノイズ除去を行いますが、リズムメインの曲については特別な方法でノイズ除去します。除去に伴う音質劣化を最小限に抑えるよう工夫してノイズ除去ソフトを利用します。以下の音源はノイズ除去精度を低めに設定したもの、独自の方法で除去したもの、特別な方法で除去したものを順にご紹介します。
<レコードデジタルラボの処理方法>
<レコードデジタルラボの処理方法>
下記の音源をお聴きください
音源7:特別な方法でノイズ処理
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(複雑な設定やプロセスが多岐に渡るためノイズのみの音源は抽出できません)
緻密な処理により原音への影響を極限まで抑えます。
最後に他の曲でもう一度比較試聴
上段オリジナル音源は全体的にチリチリパチパチノイズが出てます。1979年リリースのLPでノイズ量かなり多めです。
前半はリズム系がないので、手抜きノイズ処理でも音質劣化はほとんどわかりません。また、この曲の場合リズム音があまり強調されてないので、リズム音が始まってもオリジナルと比較しなければ音質劣化がわからないかもしれません。しかしオリジナル音源を聴いてしまうと差は歴然です。やはりリズム音のノイズ処理は手を抜けません。
↑↑↑↑↑上記オレンジ枠は特別な方法でノイズ処理したものです↑↑↑↑↑
総括
ノイズ除去に伴う音質劣化について、主にリズム主体のサウンドに対して顕著に表れるということをご確認いただけたと思います。何も考えず曲全体またはLP収録曲全体を一括処理することでノイズは簡単に除去できます。しかしアタックの強いパーカッシブなリズムやドラム音が絡んでくるとその箇所の音質劣化は想像以上です。レコードのデジタル化において、仕上がった音源に違和感を感じる場合のほとんどが、手抜きノイズ処理の影響であることは間違いないです(録音の段階で問題があるのは論外です)。
手抜きノイズ処理とは、ジャンルや曲の構成関係なくソフトの除去精度を高く設定し、なおかつ一括自動処理機能を多用すること。
当ラボではノイズ除去に伴う音質劣化を最小限に抑えるため、各コースで独自のルールを定め各音楽ソースに適切な処理を行い、高品質な音源を提供できるよう取り組んでおります。
最後に
レコードのCD化またはデジタル化を業者に依頼された経験のある方で、出来上がった音源を聴いて、おや?こんな音だったかな?こんな音悪かったかな?と思うことはございませんか?
レコードプレーヤーがない、CDが出てないものは比較する術がないので確認のしようがございません。音質について業者に尋ねようにもうまく伝えられずまあこんなもんかと諦めてしまった経験はございませんか?
そのほとんどが手抜きノイズ処理による音質劣化で原音が損なわれてることが原因と思われます(ノイズが多く残ってるのは論外)。ノイズ除去前の原音と比較するのが一番わかりやすいですが、それもかなわず泣き寝入りという方もいらっしゃいます。
当ラボでは納品後の音源に対し音圧や音質の調整、修正等ご要望ございましたらできる範囲で対応させていただきますが、内容により有料となる場合がございます。
ご依頼時、または納品後、ノイズ除去前の原音データを希望される場合はご相談ください。
(一部オプション料金を申し受ける場合がございます)
柔軟に対応させていただきます。
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