久しぶりのニュースコーナーです。しばらく更新できなかったが、レビュー案件たまっているので、業務の合間に紹介していきたいと思う。4月末にViV laboratory RIGID FLOAT 13 CBが届きました。2.5ヵ月納期かかりましたがその間デモ機をお借りしてたので不足はなかった。
導入のきっかけはレコード内周の音割れと、某12インチシングルの音割れである。前者はすべてのレコードがということではなく、LP数枚に1枚程度の頻度で気になるレベルだったが、決定的だったのは後者。私の大好きなKraftwerkのDer Telefon Anrufという曲で、ドイツ語ヴァージョンの12インチシングルはこれのみ。一般的にはThe Telephone Callというタイトルで、英語ヴァージョンが多く流通している。
Telefon AnrufをイベントでオンエアしようとTechnics SL1200GAEにAudio TechnicaのAT-ART9XAを装着し録音を試みたが、中盤から後半にかけて音量が瞬間的に高くなるアタックの強い箇所で、音がダブル現象が頻発した。ダブルという表現が適切かわからないが、バスドラがトン!となるべきところがトトンと短いスパンで2回鳴るようなイメージ。箇所によってはボコッと音量過多になり、大きなクリックノイズに聴こえるのである。はっきり言って聴いてられないし、音源として使い物にならない。試しにカートリッジをLyraのTitanに代えてみたが、ダブる箇所が2/3に減り少し改善する程度でこれも音源として使い物にならない。インサイドフォースや針圧を調整するも改善の兆候は見えない。DJ用MMカートリッジortofon CONCORDE MK IIに変更すると1/5までダブり音が減った。しかし当ラボ高音質デジタル音源はMCカートリッジメインなので、このままでは納得いかない。LP内周の音割れも以前から気になっていたので、改善策をいろいろ検討した結果、ViV laboratory RIGID FLOATの13インチモデルのデモ試聴に行き着いた。
しかし、過去にViV laboratory RIGID FLOATの9インチモデルを使ったことがあった。上記画像はオーディオに傾倒し始めのころの物で、レコードプレーヤーはTechnics SL1200MK7を使用しており、やはりLPの内周音割れや12インチシングルのダブりが気になり、RIGID FLOAT 9インチを導入した経緯があった。今回導入したそれは一周回って何とかである(笑)。しかし、2016年にSL1200GAEが登場し期待を込めて導入しRIGID FLOATは手放した。旧SL1200のアーム部はブラッシュアップされ、音割れやダブり頻度は軽減し満足していた。しかし、高音質を追求する過程で私の脳内はアップデートされ、冒頭の音割れやダブりの悩みが再燃したのである。。。。
で、デモ機到着後Audio TechnicaのAT-ART9XAを装着し、Der Telefon Anrufをプレイ。何ということでしょう。ダブりが大きく改善したのである!デモ機はオイルが減り気味で追加補充したところほとんど気にならないレベルに到達。RIGID FLOATはオイルフロートトーンアームということで、アームピボットが浮いている、つまりメカニカルな接触点は針先だけ。
以下Rigid Float の特長
ピボット部がオイルに浮かんでいるため、ピボット経由でカートリッジの磁気回路に伝わる不要振動が非常に少なくなっています。またピボットでのフリクションがなく、優れたトレーシング性能を持つなど、トーンアームとして理想的な機構を実現しています。さらにオフセット角を持たない完全ストレート構造の採用により、サイドフォースによる音質劣化を最小限に抑えています。その結果、従来のアームに比べ、音質的に以下のような特長があります。
1、歪み・濁り(付帯音)が少ない
2、ダイナミックレンジが広い
3、情報量が多い
4、高解像度、優れた定位
5、高い低域再生能力
6、トランジェントが良い
7、ずば抜けたハウリングマージン
8、内周でも外周でも音質劣化が少ない、等良い意味でアナログ離れした、ハイサンプリングデジタルソースにも似た音です。
・インサイドフォースキャンセラーやラテラル等の煩わしい調整が不要です。
・ヘッドシェル交換式(ユニバーサル型)、RCA 端子搭載、置くだけのアドオンタイプなど、優れたユーザビリティ。お手持ちのターンテーブルで、手軽にダブルアーム化・トリプルアーム化が可能です。
・内部配線には低温処理を施した絹巻の 4N 純銀電線を、端子類には高信頼性のロジウムメッキを採用。内部抵抗は 0.1Ω以下です。
・アーム根本にアジマス調整機構を搭載。カートリッジ毎のアジマスばらつきにも対応可能となりました。
・一般のショートアームに相当する 7 インチ、一般のロングアームに相当する 9 インチ、ターンテーブルキャビネット外部に設置が可能な 13 インチの 3 機種を用意。サウンドはショートモデルほどハイスピード・高解像度傾向、ロングモデルほどナチュラル・ニュートラルな傾向です。
・ゴージャスな Gold / Black のツートンカラーと、ソリッドで近未来的な印象の Black Metallic の 2 つのカラーリングを用意。お手持ちのターンテーブルにフィットするモデルをお選びいただけます。
オイルフロートと13インチロングアームの恩恵で見事にダブりが改善。LP内周音割れが気になる作品も聴いてみたが、これも大きく改善し導入決断まで時間はかからなかった。また、アームがカーボン製で不要な振動が抑えられてるおかげか、音の見通しが非常に良いことも導入の理由。SL1200GAEと比べていわゆる音のにじみが少ない。2014年頃導入した9インチモデルから9年ほど経過しておりその間細かい点でブラッシュアップがなされてると思うが、カーボン仕様が追加されたことで格段に良くなっていると確信した。
とはいえSL1200GAEのトーンアームも活躍してもらわねばならないので、当ラボのコースによって使い分ける方向で検討中だ。高音質コースやDJコース、特別コースはRIGID FLOATとMCカートリッジのコンビ、シンプルコースはSL1200GAEトーンアームとMMカートリッジのコンビ。シンプルコースもジャンルによってはRIGID FLOAT、MCカートリッジコンビを使うのもいい。せっかくダブルアームの環境を手に入れたのだから、業務にも積極的に活かしていきたい。
現在フォノイコライザー周りも見直し中で、近いうちにニュースコーナーでお知らせします。今回はViV laboratory RIGID FLOAT13 CBの導入経緯と簡単なレビューを紹介しました。