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ドイツ製レコードプレーヤー試聴

DUAL_Reference

久しぶりのニュースコーナーです。業務多忙につきこちらのコーナー滞りがちですが、今回も時間の許す限り簡潔に紹介します。

さて、今回ドイツメーカーDUALのPrimus Maximusというレコードプレーヤーを自宅デモしました。懇意の業者様よりレコードプレーヤー貸し出し可能とのお声がかかり、ダイレクトドライブのレコードプレーヤーということもありお借りすることにしました。

現在使用中のTechnics Sl1200GAE(以下GAE)ですが、ダイレクトドライブの定番機で、ベルトや糸ドライブのような顕著な回転ムラが無く、DJ案件にも最適であるため使用しております。本機について概ね満足しているが、インサイドフォースキャンセルが甘いのか、トーンアームにやや不満があるのも事実。レコード再生(レコード針が盤をトレース)の問題として内側に行くほど音が悪くなる点は周知の事実で、より高級(ハイエンド)なレコードプレーヤーになるほど音質劣化が軽減することに加え、各カートリッジの音質差も分かりやすくなるという話を聞くので、いつかハイエンドレコードプレーヤーを試してみたいと思っていた。

 

DUAL_Primus Maximus
DUAL_Primus Maximus

今回ダイレクトドライブのハイエンド機ということで自宅デモを快諾しました。上記画像の品がDUALのPrimus Maximus(以下DUAL)というモデルです。開封後比較的簡単に組み立てやセッティングができ、すぐにレコードを聴くことができました。

見た目の印象だが、木製の筐体とメカニカルなトーンアームベース周辺の構造とカーボン製のトーンアームの調和が素晴らしく、良い音を出してくれそうな趣に目を奪われました。画像と拙い私のテキストからは伝わらないかもしれませんが、実物は実に美しい工業製品だと感じました。

 

DUAL_Primus Maximus
DUAL_Primus Maximus
DUAL_Primus Maximus
DUAL_Primus Maximus

今回GAEとの比較試聴ということで、カートリッジはLYRAのKleosをチョイス。ユニバーサルジョイントではないので、針交換は面倒だが音質比較メインということで早速比較試聴してみた。

レコードの外周、無音の導入溝に針を置いた瞬間から空気感の違いを感じた。音が出始めるとこれまた違いを感じる。ズバリ言う!響きが違う!特に高域の伸びやかな響きに驚いた。キラキラ高域が耳に痛い感じではなく、すんなり耳に入ってくる心地よい響き。余計な響きが少なく付帯音が少ないためかより明瞭に音が響いてるのだと思う。フュージョン系のスタジオ録音レコードを再生してるが、実に活き活きとした再生音にため息が出る。GAEとここまで違うか、、、、と思うほどである。このような書き方をすれば、GAEが劣ってるような印象を与えるがそんなことはない。GAEにはGAEの響きがある。GAEよりクリアーなのがDUALであって、クリアーな点のみでどちらが良いかという判断には至らない。

しかし、それぞれの再生音を比較すると各楽器の輪郭が明瞭なのはDUALの方で、内周の再生でも音質劣化がわかりにくいと感じた。前者の明瞭度は好みはあると思うが、後者の内周音質劣化の軽減はポイントが高い。内周音質劣化にトーンアームの機構や素材、ストレートアームがどのように影響およぼすかわからないが、少なくともGAEよりも優位性を感じた。また、ハウリングマージンもGAEと比較したが、DUALの方がにわかに優位性があった。筐体や足周りもしっかり造られてるようだ。

 

DUAL_Primus Maximus
DUAL_Primus Maximus

GAEのリアルタイムレコード再生音は嫌いではないが、やはりDUALと比較してしまうと音質の違いは顕著で、トータルバランス的により高価なDUALの方が高音質と言わざるを得ない。

しかし、録音ファイルはどうだろうか?GAEで録音したファイルとDUALで録音したファイルをDAW上に並べてリアルタイムで比較してみると、DUALのクリアーさや各楽器の明瞭度の良さは継承されているが、リアルタイムレコード再生時ほど大きな違いは感じられない。音質差は僅かである。しかし、この僅かな違いが最終ファイル(マスタリング後)で表れるのでこの点も重要視したい。

せっかくなので、回転ムラも試してみた。打ち込み曲を2回録音し、DAW上で頭を揃えて並べお尻の箇所でどれだけズレてるか検証した。ちなみにカタログ上GAEのワウ・フラッター(回転ムラ)は0.025 %DUALは±0.04 %とかなりの差がある、、、。実際にGAEとDUALの波形を確認したが、圧倒的にGAEの精度が高いことが分かった。ことダンスミュージックの録音にDUALは向かないが、このようなユーザーはごく限られており、一般ユーザーは回転ムラは気にしなくてよいレベル。ピュアオーディオでレコード再生を楽しむ方、なおかつ予算が潤沢な方にはDUALをお勧めします。外観の美しさとクリアーな再生音が大変魅力の製品です。

DUALのレコードプレーヤーといえば、老舗中の老舗で有名らしいです。そのDUALが現代のレコードブームに満を持してリリースしたモデルがPrimus Maximusです。当ラボでの採用は無いですが、オーディオマニアの方にはお勧めの製品です。

 

SL1200GAE
SL1200GAE

今回の比較で感じたことは、トーンアームの違いが音質に表れること。まあ当たり前のことなんですけどね。GAEにはGAEのDUALにはDUALの音があるが、個人的にはDUALのカーボン製のトーンアームの影響力が大きいと感じた。根拠はないが(笑)、見た目から醸し出すイメージと音質がマッチしたからとでも言っておきます^^。上記画像GAEの音も好きなんですけどね。

今回の比較でDUALの音が良いと感じたが、この音に慣れてくるとGAEの音が恋しくなるかも?なんて思いながらレコードデジタルラボにおける今後のステップアップを妄想し始める。

 

SL1000R
SL1000R

パーフェクトなダイレクトドライブかつトーンアームが複数設置可能なSL1000Rが頭をよぎる。いやいや、高価すぎるでしょ。終の棲家ならぬ終のレコードプレーヤー、、、、という意味ではありかもしれないが、、、。

実はDUALのデモ試聴は2022年の夏以前。この試聴を期にレコードプレーヤーとトーンアームについていろいろな選択肢を模索したが、どうしてもSL1000Rに他メーカーのトーンアーム設置という答えに行き着く。導入を前向きに検討し始めるも、なんと2023年2月に値上げとなりました。このニュースを知った瞬間Bパターンが始動開始。

 

Rigid Float_ViV Laboratory
Rigid Float_ViV Laboratory

詳細は近日公開予定