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ViolectricのPPA V600フォノイコライザー

PPA V600

さて、niimbusUS4+ViolectricV590、両プリアンプ自宅デモのきっかけは、見た目に心を奪われたところからでした。LRバランス調整つまみがあることに惹かれ、諸々調べていくうちに素晴らしい製品なのでは?ということで代理店様に問合せ。初めて問い合わせしたにもかかわらず、自宅デモをご提案頂き、先日までのブログやニュースでレビューと共に葛藤を紹介するに至りました。

us4+v590
上がUS4+下がV590

プリアンプとして導入するか、ミキサーのMODEL1と比較した上で検討。プリアンプUS4+の音に心と耳を奪われ、MODEL1より優位性を感じ本格的に導入を考えましたが、最終的に導入を見送ることにしました。レコードのデジタル化のみならず、プリアンプやヘッドフォンアンプとしてUS4+の基本性能は文句のつけようのない素晴らしいもの。入出力ゲイン調整の幅や256stepのボリュームコントロール、LRバランス調整に至るまで非の打ち所がない製品であることは間違いない。後は音の好みの判断となる。US4+の音は好きだがMODEL1の音がより私の好みだったという結果。ファーストインプレでUS4+の音に驚愕したが、やはりレコードのデジタル化に特化すると、いろいろな面でMODEL1に優位性を感じる。細かな説明は省くが価格含めたコスパで判断した部分もある。買ってやるからどちらか選べとなればUS4+を選ぶ。そして自身でMODEL1を買うスタンスは変わらずです^^。それと、MODEL1継続使用を決めたもう一つの理由が今回紹介するViolectricPPA V600というフォノイコライザーの存在だ。
PPA V600
PPA V600

前置きが長くなってしまったが、代理店様のご厚意でViolectricPPA V600(以下V600)のデモ試聴もどうですかと提案がありました。LR調整可能なプリアンプを探していたので、同Violectricのフォノイコライザーは眼中になかったのだが、V600を調べてみると、、、、なんと、フォノイコライザーのくせに(笑)、もとい、フォノイコライザーにLRバランス調整機能がついてる!しかも30db~60dbまで6db単位で6段階のゲイン調整が可能で、MCカートリッジ用インピーダンス切り替え9パターンという大変興味をそそる仕様!早速デモ試聴いたしました。
PPA V600 内部
PPA V600 内部

主にRIAAカーブレコードを扱うので、内部のディップスイッチはRIAAの設定とし(下画像)、複数のMCカートリッジで試聴するので、その都度インピーダンス切り替えを行い試聴した(上画像)。前情報として、ネット上でレビューを探したが、国内レビューは皆無。海外レビューをグーグル翻訳、そして情報収集。当方のレビューとは比較にならないほどの素晴らしいレビュー、大変参考になった。期待値は上がる。
amari & V600
amari & V600

試聴の前に今回の接続について。V600には6段階のゲイン調整(6db単位)とLRバランス調整(±2db)ができるので、MODEL1介さずダイレクトにAMARIアナログ入力に。ここで注意が!V600はXLR出力とRCA出力がある。AMARIの基本設定なのか、XLR入力だとゲインが極端に低くなる。RCA入力で通常の状態になる。バランスとアンバランスのdbuとかdbvとかのレベルのお話になるのだが、この辺の業務用とコンシューマのレベル設定はいまいちわからないので(汗)、理屈抜きに今回はV600のRCA出力をAMARIのRCA入力でレコードをデジタル化してみた。使うMCカートリッジやレコードによってゲインが異なることは周知のことだが、V600のゲイン調整で録音レベル調整がうまくいくか、、、6段階調整といえども実質48db、54db、60dbの3つの選択肢しかない。30db、36db、42dbはMM専用と考えたほうがいい。V600からダイレクトにAMARIへ送り、LRの不均衡が生じればV600で調整するのが理想。3段階のゲイン切り替えで適切な録音レベルにならない時はV600→MODEL1→AMARIの接続で、MODEL1でゲイン調整する。今回たまたまチョイスしたLP2枚はV600とAMARIダイレクト接続で録音レベル微調整は不要だった。このようにダイレクトで問題ないものはMODEL1介さずに録音というのも選択肢の一つ。実はこれがベストであろう^^
MODEL1とV600
MODEL1とV600

早速LYRA:KLEOSとMY SONIC LAB:EMINENT GLとAUDIO TECHNICA:AT-ART9XAのMC針で聴いてみた。FidelixのLeggieroとLiricoのコンビと比較しての感想だが、またベールが剥がれちゃったか?というのが第一印象。解像度が上がり音の輪郭がクリアーになり、バスドラやべースのメリハリもより感じられ、これがV600の音かー!と顔がにやついてる自分に気づく。初めて聴く機器への期待感ブラシーボ効果では?と一旦冷静になって聴いてもにやついてしまうほど好印象である。特にEMINENT GLKLEOSV600との相性が抜群に良いではないか!V600大変気に入りました。AT-ART9XAはインピーダンス設定いろいろ切り替えてみたが、Fidelixコンビで聴く音が好ましい。ついでに同メーカーのAT33SAも試してみたがこちらはV600でもFidelixコンビでも大きく変わらないと感じた。EMINENT GLとKLEOSの高音質化はV600とAMARIのダイレクト接続が影響してると思うが、試しにMODEL1介して録音してみたが、にわかに質感に変化を感じる程度で印象は大きく変わらない。V600の基本性能は確かなようだ。AT-ART9XAとの相性はいまいちと感じた。おそらくV600はカートリッジを選ぶのではないかと推察するが、マッチしたカートリッジでは能力を最大限引き出してくれるとも感じた。現にEMINENT とKLEOSの試聴結果が物語ってる。また、Fidelixコンビはカートリッジを選ばず、平均的に音質の底上げをしてくれ、底上げ能力が高いため、どのカートリッジを使用しても最大限良さを引き出してくれると改めて感じた。Fidelix:Leggieroもすごいフォノイコライザーだ。

PPA V600これは棚ぼたである。プリアンプを探していたところ、V600という高性能かつLRバランス調整機能を備えた私好みの素晴らしいフォノイコライザーに巡り合えたのだから。つまりniimbus:US4+導入見送りとなった理由である。

v600-むき出し
v600-むき出し

V600は消費電力少なそうだが、電源ケーブルはJorma DesignAC LANDA RH IIを使い、IsotekNova Oneで電力を供給させる!これもまた音質アップの相乗効果となっている。新たな仲間として加わることになるViolectricPPA V600だが、バイオレクトリックって名前が良いですね!見た目も名前も音もとっても気に入りました。niimbusUS4+の音も衝撃でしたがV600のフォノイコのくせにLR調整できることにも驚きました。マイナーな製品の部類と思いますが、まだまだ私の知らない世界はあるようです。ご提案頂いた代理店SのI様に感謝です。Violectric:PPA V600おすすめです!
Violectric PPA V600
Violectric PPA V600

長々書いておすすめしておきながら、このV600は残念ながらディスコンとなったという事実を先日知りました。大変もったいない話です。現在のレコードブームに期待をもって生産継続となるよう願いを込めてレビューさせていただきました。簡単なレビューで大変恐縮ですが、V600ひいてはViolectricというドイツの堅実なメーカーの良さが伝われば幸いです。

追伸:代理店にあと1台残ってるそうです。