本日は時間が無いので、早速本題に入りましょう。
本日届いたRick Astleysの最新リマスターCDだが、2週間ほどの延期を経てようやく手元に届いた。待ちに待った品が届いた時はすぐに聴きたいのだが、逸る気持ちを抑えて業務に専念。思いがけず早めに終わったので、当ラボシステムで聴いてみた。
今回のお品はデラックス仕様で2枚組。タイトルはWhenever You Need Somebody: 2022 Remaster(2CD Deluxe Edition)である。オリジナルは1987年リリースだが、何度か再発を経ており満を持して感が半端ない本作は、リリースアナウンスがあった時から狙っていた逸品である。内容は80年代を代表する作品なのでいわずもがな、最新リマスターでありLP未収録の12インチヴァージョンが盛だくさん。これは買いであるが、果たして音質はいかに?ということで、当方がDJプレイ用に12インチシングルからデジタル化した音源と比較もかねて音質チェックしてみたい。くどいが、時間が無いので個人的メインの2トラック(Disc Two)に絞り比較試聴てみた。
まずはアルバムタイトル曲でもあるWhenever You Need Somebody : Lonely Hearts MixのCD音源を聴いてみた(Track 7)。はっきり言ってよい音である。音圧は高めであるが、全体的に音が前に出ており、しっかりとした低域で程よいアタック感が心地よく、ダンスミュージックの質感は申し分ない。中域から高域にかけての質感は、若干音がにじんでるように感じたが、低域とのバランスを考えればこのくらいの出方が丁度良いと感じた。この一曲を聴けばこのCDのクオリティが予測できる。PWLプロダクション作品の中で最も売れたとされるRick Astleyの作品で、しかも最新のリマスターとくればいい音に決まってる!このCDは80’sファン並びに80’sサウンドを扱うDJにもお勧めである。
続いて12インチシングルよりデジタル化した音源と比較してみる。昨年12月頃、一旦コロナが終息した時期に開催されたイベント用にデジタル化した音源である。特別コース同等のノイズ除去に加え、DJコースのマスタリングを施した音源である。本当はUK盤が欲しいのだが、状態が良いものはなかなか入手できず、今回Europe盤をデジタル化したものを使用した。DAW上に並べ音量を揃えミュートとソロで切り替えながら比較試聴した。やはりというか、比較試聴の際毎回同じことを言うが、比較しないとわからないことがある。
CD音源とレコードからデジタル化したものは別物である。当ラボではレコードの音を優先し極端な音質調整せず、適正な音圧と音質で当方が気持ちよく聴ける音を基準としてるが、今回もレコードからの音源(以下レコードマスターとする)が良すぎるのである。自画自賛も含んでいるが(笑)、客観的に聴いても明らかにレコードマスターが高音質と感じる。
CD音源と比べて低域の押出は少し弱いが、中域から高域の音質が極めて良いのである。低域の押出が弱いと感じるのはCDとの比較であって、ダンスミュージックの基本的な押出感は踏襲されているので全く不満はない。むしろ中域と高域とのバランスを考えれば丁度良い。しいて言えば高域がにわかに強いと感じる箇所がある。俗に云うサチるというやつで、サ行が強調される箇所が少し気になる程度だったが、トータルバランスで見てもレコードマスターに軍配が上がる。CDの音質は申し分ないが、やはりレコードマスターと比較してしまうと差を感じてしまう。
続いてNever Gonna Give You Up (Cake Mix)のCD音源を聴いてみた(Track 6)。この曲のこのヴァージョンはDJ時代の思い出が詰まっているので、私にとっては大切な曲!いやー、このCD、やはり良い音である。イントロのリズムからバスドラ、スネア、ベースと音が重なり、ステレオ感も相俟って鳥肌モノである^^。他のコンピレーションCDで同じヴァージョンを聴いたことがあったが、それを完全に上回る高音質だ。
文句はないが、しいて言えば、前奏のリズム箇所、音量が少し大きくなってる。波形を見ても顕著である。DJ目線で言えば前奏はつなぎで使用する箇所なので、リマスタリングで音量上げてもらっては困る場合もある。まあ、リスニング用途なら大した問題ではない。
さて、続いてはレコードマスターとの比較である。今回Europe盤とUS盤から作成したレコードマスターを用意した。これらもイベント用にデジタル化したが、いずれEurope盤とUS盤の音質比較も行う予定だったので、今回CD音源と合わせて比較してみた。
まずはEurop盤レコードマスターとCD音源を比較した。これは明らかにCD音源が良いと感じたが、そもそも質感が全然違う。Europe盤レコードマスターはヴォーカルが奥に引っ込み演奏が前に来てるイメージなので、ある意味立体感はあるのだが、中高域の解像度が物足りない。CD音源と比べて曲の印象が暗くなる。これをアナログレコードっぽいと表現するケースもあるが、レコード本来のクリアーな音質を経験してる者としては正直物足りない。CD音源の方が明るくポップであり、ダンスミュージックとしてはより楽しく踊れると感じた。しかし、単体で聴くEurope盤レコードマスターも悪くない。他の音源と比較すると物足りないといったところだ。
続いてUS盤レコードマスターとCD音源を比較した。CD音源を聴いた時に鳥肌モノと表現したが、US盤レコードマスターはそれを凌駕するほどのクオリティーだ!Never Gonna Give You Up US盤恐るべし!この段階でEurope盤と比較する必要なしと感じた。US盤完全勝利!高解像度かつ帯域バランスが良い!絶妙な空気感というか言葉で表せないデリカシーがこの音にはある!このUS盤12インチに納められたソースには、ヒットすべく条件が見事に納められてると思わずにはいられない。伝説のDJ Larry Levanもパラダイスガレージでこの12インチをスピンしてたという事実もうなづける。例えや表現が稚拙で恐縮だが(笑)、今回の比較で改めて音の良いレコードの凄さを再認識した。と言っても今回紹介のRick Astley 2022年Remaster CDも負けず劣らず素晴らしい音質と感じた。
駆け足で比較試聴レビューして参りましたが、レコードの音の良さを再認識しつつも、最新リマスターCDも負けず劣らずだということを認めざるを得ない。実に紛らわしい表現だが(笑)、今後もオリジナルレコードと最新リマスターCD、及びレコードに注目していきたい!そして良いものは良いと認めていきたい^^
さて、明日から再び超多忙モード突入!